日本頭痛学会

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非急性頭痛の治療における遠隔診療:前向き非盲検非劣性無作為化臨床試験

Muller KI, et al. Telemedicine in the management of non-acute headaches: A prospective, open-labelled non-inferiority, randomised clinical trial. Cephalalgia 2017; 37:855-863

 

【目的】

 頭痛患者の遠隔診療への満足度を判定し、遠隔診療が、頭痛への負担、診断と治療のコンプライアンス、追加診療の必要性にどのような影響を与えたかを評価した。

【方法】

 2012年9月から2015年5 月まで、ノルウェー北部の患者(16~65歳)で、非急性頭痛(神経症状がなく画像検査で異常なし)としてトロムソ大学病院の頭痛専門医に紹介された症例が対象となった。 頭痛専門医の診療は1回のみで、ビデオカンファレンスシステムを利用した遠隔診療、または対面診療のいずれかに連続的に無作為化された。 ベースラインデータを記録し、3ヶ月後のフォローアップ時の質問表のデータと比較した。評価項目は以下の通りである。 (1)診療満足度、(2)頭痛の状態; 主観的改善、平均頭痛強度、治療、頭痛日数およびHeadache Impact Test(HIT-6)、(3)治療コンプライアンスおよびフォローアップ受診。

【結果】

 計402件の内訳は、遠隔診療群が200例で女性148例(74%)、片頭痛106例(53%)、緊張型頭痛15例(7.5%)、MOH35例(17.5%)、TACs16例(8%)であり、対面診療群が202例で女性153例(75.7%)、片頭痛113例(55.9%)、緊張型頭痛8例(4%)、MOH38例(18.8%)、TACs16例(7.9%)であった。 402件中348件(86.6%)で質問表への回答が得られ、満足度は遠隔診療群と対面診療群で同様であった(88.8% vs. 92.3%、p = 0.35)。 サブグループ解析は事前に指定されていなかったが、女性、片頭痛患者、農村部の患者、都市部の患者の満足度に差はなかった。 3ヶ月後のベースラインからの改善は、遠隔診療群および対面診療群で同等であった。 治療コンプライアンスにも差はなかったが、農村部の遠隔診療患者は、3カ月のフォローアップ期間内で頭痛による予約なしの受診率が低下した(28.9% vs. 48.7%、p = 0.002)。

【結論・コメント】

 非急性頭痛において、遠隔診療を受診した約90%で満足が得られた。ビデオカンファレンスシステムを利用した遠隔診療は、非急性頭痛を診断および治療するための適切な情報通信技術であり、患者の満足度や頭痛専門医の評価、および非急性頭痛の治療において、対面診療に劣るものではない。 遠隔診療は、頭痛医療の構造や臨床業務の再編をもたらすきっかけとなるが、これら変化の長期的な成果については引き続き検討する必要がある。
 わが国でも、診療報酬制度の整備は必要であるが、頭痛専門医の少ない地域での診療や、特に予防治療を行っている再診患者での通院の手間や待ち時間の解消、それに伴う受診日調整の容易さなどの面で遠隔診療が有用ではないかと考えられた。

文責:松森保彦(仙台頭痛脳神経クリニック)