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抗CGRPモノクローナル抗体TEV-48125の投与早期における有効性

Bigal ME, et al. TEV-48125 for the preventive treatment of chronic migraine. Neurology 2016;87:1-8.

 

慶應義塾大学神経内科
企画広報委員
柴田 護

【背景】
 慢性片頭痛 (CM)は有病率1%程度と考えられているが、その重症度のため日常生活のみならず就業などの社会的生活に支障を来すことが知られている。 治療には既存の片頭痛予防薬が用いられているが、必ずしも十分な有効性が得られず、副作用のために中止に至ることが多い。 TEV-48125はCGRPに強力に結合するモノクローナル抗体であり、第2b相臨床研究によって投与1ヵ月後におけるCMに対する有効性が確認されている。 本研究では、より早期における同薬の有効性について検討している。

 

【方法・結果】
 ICHD-3betaに準拠してCMと診断された患者261名が対象となり、プラセボ群89名、675/225 mg投与群87名、900 mg投与群85名に無作為に割付けられた。 ベースラインから治療後3ヵ月時点での「1ヵ月あたりの頭痛を認める時間」の変化は最小二乗平均でプラセボ群-37.1時間 (標準誤差8.4)に対して、675/225 mg投与群-59.8時間 (同8.6)、900 mg投与群-67.5時間 (同8.6)であり、1ヵ月時点でプラセボ群-18.1時間 (同7.1)に対して、675/225 mg投与群-44.1時間 (同7.3)、900 mg投与群-56.82時間 (同7.3)であった。 さらに早期の変化に関しても解析が加えられた。 治療1週間時点での変化は、プラセボ群-2.85時間 (同2.21)に対して、675/225 mg投与群-9.08時間 (同2.25)、900 mg投与群-11.37時間 (同2.26)であり、900 mg投与群に関してはプラセボ群との有意差が確認された (p < 0.003)。 両群の有意差は2および3週間目にも確認された。 本研究では1日毎の効果も解析を行っているが、治療開始3日目の時点では既に、900 mg投与群-3.08時間に対してプラセボ群+0.36時間であり両群に差が認められた (p = 0.0331)。 675/225 mg投与群についても7日目においてプラセボ群との有意差が確認されている (-1.59 vs. -7.28, p = 0.0486)。 一方、中等度~重度の頭痛を認めた日数のベースラインからの変化に関しては、900 mg投与群では1週間目において-1.26時間でありプラセボ群の-0.77時間と比較して分離した効果を発揮している傾向が確認された (p = 0.054)。 そして、2週間目においては、プラセボ群-0.79時間、675/225 mg投与群-1.34時間 (p = 0.031, 対プラセボ群)、900 mg投与群-1.51時間 (p = 0.005, 対プラセボ群)となっており、いずれの投与量においても有意差が認められた。 中等度以上の頭痛を認める日数が50%以下に減少した患者の割合はTEV-48125投与群で高かったものの、NNTは決して低い数値ではなかった (例: 1週間において900 mg投与群がプラセボ群に対して示す効果のNNTは11.1)。

 

【結論・コメント】
 TEV-48125は高用量においては3日後に、低用量においても7日後にプラセボ群に比較して有意な薬効差を示した。 このような早期効果は臨床的に大きな意義を有すると思われる。 例えば、患者が治療効果を早い段階から自覚することで治療へのアドヒアランスが維持されることが期待できる。 また、CMのような文字通り慢性化した病態においてCGRPの作用をブロックすることが非常に早く病態を改善させたことは、本疾患の病態におけるCGRPの役割の重要性を強く示唆している。 ボツリヌス毒素Onabotulinumtoxin Aではこれほど早い効果は確認されていないため、将来的にTEV-48125は慢性片頭痛治療において重要な地位を占める可能性が考えられる。