Headache Master School Japan (HMSJ) 2016開催報告


2017年4月14日

日本頭痛学会会員 各位



Headache Master School Japan (HMSJ) 2016開催報告


第4回 HMSJ-Morioka 会長 寺山靖夫
第5回 HMSJ-Osaka  会長 竹島多賀夫


Headache Master School Japan (HMSJ)は3年目を迎え、通算5回の開催をすることができました。 2013年に坂井文彦前代表理事が東京で開催された国際頭痛学会のプロジェクトとしてのHeadache Master School in Asiaの思想の元、鈴木則宏代表理事、平田幸一教育委員長はじめ、頭痛学会の多くの関係者の努力により展開してきたものです。

第4回は盛岡のいわて県民情報交流センターで2016年7月10日に開催されました(会長 寺山靖夫)。 当日は、9時半に会場、寺山からのopening remarks後、講演が始まりました。今回は、頭痛医学の基礎から実践的な内容まで網羅することを目的にプログラムを大きく4つに分けました。 第一部は"Kick-off lectures"として、頭痛学会代表理事の鈴木則宏先生に"日本の頭痛診療の現状と展望"についてお話しいただきました。 座長は埼玉国際頭痛センターの坂井文彦先生にお願いいたしました。

第二部は"II. Basics of headache medicine: diagnosis, classification and pathophysiology"をテーマに、二つのパートに分けてご講演いただきました。 "1. Headache Science; pathophysiology"では、鈴木則宏先生座長の下、頭痛医学に必要な解剖や病態生理に照準を当て3つのテーマを選びました。 まずは清水利彦先生に"頭痛解剖学"を、古和久典先生に"頭痛の病態?痛みが起こるメカニズム?"について、そして岩下達夫先生に"頭痛の慢性化"についてご講演いただきました。 休憩後、"2. Diagnosis Classification and treatment"では平田幸一先生に座長をおつとめいただき、3名の先生にご講演いただきました。 最初に竹島が"ICHD-3β活用法 応用編"としてICHD-UからICHD-3βで変更になった点を中心に診断に関わる実践的な内容を紹介し、次に海野桂子先生に"MOHの治療と問題点"として頭痛診療の大きな問題点の一つであるMOHの疫学、診断から治療まで幅広い内容を、最後に柴田護先生に"片頭痛の治療最先端"としてCGRPおよびCGRP受容体を標的にした新規治療薬を含めた最新の情報をご紹介いただきました。

"Luncheon Seminar"では、北川泰久先生に"肩こりと頭痛 - その病態を科学する- "というテーマでご講演いただきました。 途中、北川先生が撮影された日本全国の絶景写真もご発表いただき、参加者の目を楽しませました。

第三部では"III. 頭痛診療の5steps!(case oriented lecture)"として、頭痛診療に欠かせない5つの要素である問診、診断、画像検査、治療の選択、マネージメント(非薬物治療)について実際の症例をベースに詳しく5人の先生に解説していただきました。 最初に工藤雅子先生が"How to take an excellent diagnosis?"のタイトルで問診のとり方について話した後、菊井祥二先生から二次性頭痛の否定を含めた鑑別診断について("Differential diagnosis")、木築裕彦先生から画像診断の適応について("Do imaging immediately!")、今井昇先生から片頭痛の薬物治療を中心に治療薬の選択について("Choose the best treatment")、最後に浅野賀雄先生より生活指導や非薬物療法の実際について("How to manage headache patients?")をそれぞれご講演いただきました。 座長は五十嵐久佳先生にお願いいたしました。

最後のセッション("IV. Special Interest Section")では、北川泰久先生座長の下、最近のtopicsである頭痛性疾患についてご講演いただきました。 最初に、北見公一先生に咳嗽性頭痛などの"珍しい頭痛"について、次に辰元宗人先生に脳幹性前兆を伴う片頭痛と前庭性片頭痛を含めた"めまいと片頭痛"の関連について、続いて松森保彦先生に救急外来を受診する一次性頭痛および二次性頭痛について("救急外来における頭痛")それぞれ多彩な内容をお話しいただきました。 その後工藤が"震災と頭痛"について最近の治験を発表いたしました。最後に平田幸一先生に総括、鈴木則宏先生にClosing Remarksをいただき、16時閉会となりました。 講演終了後ホームページを介したポストラーニングを行い、131名の先生方がポストテストに合格されました。

初めての東京・大阪以外の開催となった第4回でしたが、140名の先生方にご参加いただき熱心にご聴講いただいたのみならず活発なディスカッションが展開されました。 講演の項目が多く時間が足りなかったこともあり、遠方からの先生方に時間通りにお帰りいただくために、予定していたトータライザーの使用が十分にできなかったという反省点はありましたが、頭痛学会のめざす"頭痛診療の均霑化"というテーマを実現させるための一助となったのではないかと考えております。

第5回は大阪の国際交流センターで2016年10月23日に開催されました(会長 竹島多賀夫)。 京都で開催されました第44回頭痛学会総会に引き続く日程で開催する新たな試みをさせていただきました。 頭痛学会総会の出席を合わせて受講いただくパターンは、多くの会員にご支持いただくことができ、受講者は193名にのぼりました。 Post-Exam合格者は184名でした。

第5回のプログラムは、これから頭痛専門医をめざす頭痛学会会員の皆様、すでに専門医を取得されている皆様、それぞれにとって、頭痛診療に関する新しい経験をしていただき、ひとつステージを上っていただけるような内容を考えて、Headache Management: Move on to the next stagesをテーマにして企画いたしました。

9:30から、竹島が開会のご挨拶を申し上げた後、 寺山の座長の元、代表理事の鈴木則宏 先生に、Message from President of JHSとして、わが国の頭痛学の展望と頭痛学会の役割につきご講演いただきました。

総会のため来日されている、Purdy先生、Dodick先生に特別にレクチャーをしていただけることになり、午前中にふたつの英語セッションを設定しました。 坂井文彦先生の司会のもと、Management of refractory headachesのテーマでMayo Clinic のDavid W. Dodick教授に、約30分のKeynote lecture をRefractory Headache: Challenges and Strategiesのタイトルでしていただき、その後、柴田護先生がNDPHの症例を提示、今井昇先生がSUNA/SUNCTの症例を提示いただきました。 小休憩後、鈴木則宏先生の司会でHeadache Disorders, not common but not rareのテーマで次の英語セッションを開始しました。

Dalhousie UniversityのR Allan Purdy教授にPrimary/secondary headaches Casesのタイトルでご講演いただきました。 その後、高橋牧郎先生に primary stabbing headache & nummular headacheの症例提示を、続いて、鈴木圭輔先生にsleep apnea headache の症例を提示いただきました。 ふたつの英語セッションは受講者からの質問が多くなされ、熱い議論が印象的でした。 まさに2013年のHMS in Asiaを彷彿とさせる熱気が会場を覆っていました。

ランチョンセミナーは、住友病院の宇高 不可思 先生に「仏像にみる神経学 〜頭の痛くない話〜」のタイトルでご講演いただきました。 仏像に関する深い造詣と神経学的な視点からの考察は圧巻で、聴衆は宇高ワールドに魅了されていたと思います。 宇高先生の御指導で、第5回HMSJの抄録集の表紙は東大寺の戒壇堂四天王立像の広目天立像の御写真を使用させていただきました。

午後は、実践的なテーマを、頭痛学会のオピニオンリーダーの先生がたにレクチャーいただきました。 第W部として、「頭痛専門医に必要な基礎的知識とトピックス」のテーマで、平田幸一先生の座長のもと、清水利彦先生、古和久典先生、永田栄一郎先生、松森保彦先生にそれぞれ、頭痛の解剖と生理学、疫学と遺伝子、生化学、画像診断のトピックスを講演いただきました。

第X部は「頭痛治療One-up」として、立花久大先生の座長の元、トリプタンの使いわけ エビデンスとオピニオン(團野大介先生)、頭痛治療における抗てんかん薬の使い方(伊藤康男先生)、妊娠希望の頭痛患者(片頭痛,群発頭痛)の治療(稲垣美恵子先生)、頭痛治療におけるリドカインの使い方とエビデンス(菊井祥二先生)、頭痛治療におけるインドメタシンの使い方(石崎公郁子先生)、頭痛治療における制吐剤の使い方(西郷和真先生)についてレクチャーをしていただきました。 午後のセッションは、専門医試験の受験に役立つ内容であり、同時に、専門医の先生方が日常の頭痛診療で役立つような、頭痛の病態の一段深い理解と、処方の新たな一手を得ていただけたものと思います。

Closing Remarks(寺山)で今回のHMSJを振り返って、閉会となりました。 大阪での2回目の開催でしたが、楽しい1日を参加いただいた皆様と共有でき、とてもうれしく思います。

頭痛学会では、毎年、頭痛専門医試験を実施していますが、専門医制度の変革の流れに沿って、2017年度より受験資格のうちの教育病院での研修歴の要件が厳格化されました。 専門医が少ない地域では、認定教育施設も少なく、専門医受験資格を得ることが困難な状況が懸念されるため、当面の暫定措置として、HMSJと総会の教育セミナーの受講で教育施設での研修歴に代替できる措置を設けています。 当面は毎年、各地で2回のHMSJを開催する予定です。詳細は学会ホームページで御確認ください。

HMSJが、頭痛専門医と専門医を目指す先生方のお役にたち、わが国の頭痛医療のレベルが向上し、多くの頭痛患者があまねくその恩恵を受けることを願ってやみません。