㈼−2−13 |
片頭痛発作重積の急性期治療はどのように行なうか |
推奨 |
1.二次性頭痛の除外 2.補液(静脈ルート確保):嘔吐による脱水の改善と,治療薬による低血圧などの副作用に備える 3.制吐薬の静注または筋注:プロクロルペラジン (5-10mg) またはメトクロプラミド (10mg) 4.スマトリプタン 3mg 皮下注: 24 時間以内の総投与量と頭痛再燃に注意する 5.ドロペリドール (2.5-2.75mg) 筋注または静注:錐体外路症状に注意 6.デキサメタゾン (4-10mg 静注 ) |
推奨のグレード |
B |
背景・目的 |
片頭痛発作重積は「前兆のない片頭痛」を持つ患者において重度の頭痛が 72 時間を越えて続くものである.患者は救急外来を受診することが多く,強い頭痛と嘔吐のため,病歴の聴取が困難な場合が多い.初診時にはまず,二次性頭痛の検索を行い,全身状態を確認した上で,治療を開始する.
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解説・エビデンス |
片頭痛発作重積の大規模な研究や二重盲検試験はないが,経験的治療として,ジヒドロエルゴタミン 1) ,ドロペリドール 2) ,コルチコステロイド 3) ,リドカイン 1) ,バルプロ酸静注 4) などが使用されている.片頭痛発作重積か否かは明らかにされていないが,救急外来での急性期片頭痛治療としてはいくつかの RCT がある.ドロペリドール筋注( 2.75mg )はプラセボより効果が優れ 5) , 2.5mg 筋注はメペリジン (1.5mg/kg) 筋注と同等の効果を示した 6) .ドロペリドールは副作用として,低血圧はなかったものの,アカシジアが起こることがあり注意が必要である.スマトリプタン 6mg 筋注とクロルプロマジン静注は同等の効果が認められている 7) .救急外来受診患者におけるプロクロルペラジン筋注とメトクロプラミド筋注のRCTではプロクロルペラジンの効果が高く,悪心・嘔吐のみならず頭痛も改善したとの報告もあるが 8) ,レスキューの鎮痛薬を使用する率が高く 9) ,あくまで悪心・嘔吐の改善のために補助的に使用するのがよいと考える.欧米では重度の片頭痛急性期治療薬としてジヒドロエルゴタミンの注射薬の有効性が高く評価されているが,本邦では未発売である.中等度〜重度の頭痛に対するジヒドロエルゴタミン 1mg とスマトリプタン 6mg 皮下注効果が同等であるとの RCT 10) があるが,頭痛再燃はスマトリプタンの方が多いため,再燃がみられる患者では投与量が増える可能性がある.前兆が遷延し,局所神経徴候が長びく場合には,アセタゾラミド 10) ,フロセミド 11) により症状が改善したとの症例報告がある.
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参考文献のリスト |
1)Jauslin P, Goadsby PJ, Lance JW. The hospital management of severe
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検索式・参考にした |
04/12/1 1. “status migrainosus” 27 2.1 & treatment 24 3.1 & management 5 4 1& {treatment OR management} 24 5. 4 & RCT 0 6. migraine & (refractory or intractable or “very severe”) 1334 7. 6 & (treatment or management) 949 8 7 & RCT 169 9. migraine & “emergency room” 39 |