㈼−1−1
片頭痛はどのように分類するのか

 

推奨
片頭痛の分類は国際頭痛分類第 2 版 (ICHD- ㈼ ) に準拠して行うように勧められる. ICHD- ㈼は階層的な分類( hierarchical classification )を採用しており,通常の一般診療では 1 桁(頭痛タイプ)または 2 桁(サブタイプ)のレベルの診断の使用で可能であるが,専門診療,頭痛センター等の診療では, 3 桁(サブフォーム)レベルまでの診断が勧められる
推奨のグレード
  A
 
                                                                
 

背景・目的

片頭痛の分類は,片頭痛の疾患概念や病態の理解の進展とともに変化してきた.国際頭痛分類第 2 版( ICHD- ㈼)は, 1988 年の初版と同様に研究および臨床の場でひとしく用いられることを目的として作成されており,現在の最も広く受け入れられている片頭痛の疾患概念と病態に基づいて作成されている.


解説・エビデンス

国際頭痛分類第 2 版 (ICHD- ㈼ ) 1)
ICHD- ㈼は階層的な分類( hierarchical classification )を採用しており,研究や診療のレベルがより専門的になるに従って,深い階層(サブタイプ・サブフォーム)の分類を用いて記述することが可能である.
診療や研究の状況,目的に応じた階層の頭痛分類を使用する.
頭痛に対するエビデンスにもとづく治療の大部分は,国際頭痛分類の初版を使うことによって発展してきた.第 2 版では,一次性頭痛の分類と診断に関しての主な原則は変更されていないので,初版を用いて得られたエビデンスは,第 2 版を用いて診断した時でも多くの場合そのままあてはまる.トリプタン製剤が有効そうな患者を探す時には,この分類の前兆のある片頭痛や前兆のない片頭痛の診断基準にもとづいて患者を診断することが勧められる.
国際頭痛分類第 2 版は,頭痛患者の診断や治療に関心がある医師・研究者にとって目を通すべき最も重要な文献のひとつである.
すべての頭痛は主要なグループに分類され,それぞれのグループはさらに 1 , 2 , 3 の階層に分類され,頭痛のタイプ,サブタイプ,サブフォームに細分化される.
1 .「片頭痛」は 1 つの頭痛のタイプ(片頭痛)からなるグループであり, 1 . 2 「前兆のある片頭痛」のような片頭痛のサブタイプは,次のレベル( 2 桁)のグループとなる.前兆のある片頭痛は,さらに,たとえば 1 . 2 . 1 「典型的前兆のある片頭痛」のようなサブフォームに分類される.プライマリケア医の診療では,急性期の治療を選択するために,最初のレベル,すなわち片頭痛が診断ができれば十分であろう.鑑別診断に問題がある場合などには第 2 ,第 3 のレベルでコード化する必要があり,神経内科医や頭痛専門医は,第 3 のレベルを用いて正確な片頭痛のサブフォームを診断することができるであろう.この体系は,健康管理に係わる様々なレベルにおいても有用性が証明されてきた.
ICHD-II では片頭痛は下記のように階層的に分類されている.
1. Migraine 片頭痛
1.1 Migraine without aura 前兆のない片頭痛
1.2 Migraine with aura 前兆のある片頭痛
1.2.1 Typical aura with migraine headache 典型的前兆に片頭痛を伴うもの
1.2.2 Typical aura with non-migraine headache 典型的前兆に非片頭痛様の頭痛を伴うもの
1.2.3 Typical aura without headache 典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの
1.2.4 Familial hemiplegic migraine ( FHM ) 家族性片麻痺性片頭痛( FHM )
1.2.5 Sporadic hemiplegic migraine 孤発性片麻痺性片頭痛
1.2.6 Basilar-type migraine 脳底型片頭痛
1.3 Childhood periodic syndromes that are commonly precursors of migraine 小児周期性症候群(片頭痛に移行することが多いもの)
1.3.1 Cyclical vomiting 周期性嘔吐症
1.3.2 Abdominal migraine 腹部片頭痛
1.3.3 Benign paroxysmal vertigo of childhood 小児良性発作性めまい
1.4 Retinal migraine 網膜片頭痛
1.5 Complications of migraine 片頭痛の合併症
1.5.1 Chronic migraine 慢性片頭痛
1.5.2 Status migrainosus 片頭痛発作重積
1.5.3 Persistent aura without infarction 遷延性前兆で脳梗塞を伴わないもの
1.5.4 Migrainous infarction 片頭痛性脳梗塞
1.5.5 Migraine-triggered seizure 片頭痛により誘発される痙攣
1.6 Probable migraine 片頭痛の疑い
1.6.1 Probable migraine without aura 前兆のない片頭痛の疑い
1.6.2 Probable migraine with aura 前兆のある片頭痛の疑い
1.6.5 Probable chronic migraine 慢性片頭痛の疑い
 
国際頭痛分類初版( IHS 分類 1988 ) 2)
1988 年国際頭痛学会が提唱した分類と診断基準でありこれにより,頭痛診断の国際的な標準化が行われ,診断や治療に関するデータの集積や比較検討が可能となった.初版の片頭痛分類の大部分が ICHD-II に継承されている.主要な変更は 「突発性前兆を伴う片頭痛」 が廃止,「眼筋麻痺性片頭痛」は片頭痛のサブタイプから除外され,「頭部神経痛および中枢顔面痛」のサブタイプに分類された.
「1.7上記分類に属さない片頭痛」の項目は無くなり,片頭痛の疑いが設けれらた.
1962 年の AdHoc 委員会の分類 3) は,片頭痛は血管性の頭痛であるとの観点からの分類で, 1988 年に IHS 分類が提唱されるまで広く使用されていた.現在では歴史的な意義しかないが, "Classic" Migraine :古典型片頭痛と "Common" Migraine :普通型片頭痛は各々,前兆のある片頭痛,前兆のない片頭痛にほぼ対応する.群発頭痛も片頭痛の一種と考えれらていたが,現在は独立した頭痛グループとなっている.また,片頭痛と筋収縮性頭痛( ICHD-II では緊張型頭痛に相当)の合併を Combined headache  連合性頭痛としていたが, ICHD-II では個別にコードするように改められた.


参考文献のリスト

1) Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society.  
  The International Classification Of Headache Disorders; 2nd Edition. Cephalalgia
  2004; 24 (suppl 1):1-160.  ( 国際頭痛学会・頭痛分類委員会 .
  国際頭痛分類第 2 版 (ICHD-II). 日本頭痛学会雑誌 2004;31:13-188. )
2) Headache Classification Committee of the International Headache Society.
  Classification and diagnostic criteria for headache disorders, cranial neuralgias
  and facial pain. Cephalalgia 1988; 8 Suppl 7:1-96.
3) Ad hoc committee on classification of headache. Classification of headache.
  JAMA 1962; 179:127-128.


検索式・参考にした
二次資料

検索式:  II  片頭痛 -  分類,診断基準,疫学で共通 
migraine 16131
&classification 990
& daignosis 6324
& {diagnosis} AND {criteria} 705
& {epidemiology} OR {prevalence} 1596
& {English} OR {Japanese} 1360
以上;  2801 件
主として文献タイトル,一部オンラインで閲覧できる抄録を見て分類・診断・疫学に関連する文献 298 件を選別,
最近の原著や総説の引用文献などからも関連する文献で上記から漏れているものを 19 文献追加
合計  317 件 を収集
分類に関しては 3 件を選定
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